録音した自分の声を聞くと、
毎回ちょっと戸惑う。
「……誰?」ってなるの、
あれ何なのかしらね。
ちゃんと自分の声なのに、
妙に初対面感がある。
少しよそよそしくて、
距離があって、
知らない人みたい。
昔ね、初めて自分の声を録音で聞いた時、
私も固まったの。
え、こんな声してた?って。
もっと落ち着いてるつもりだったし、
もっと大人っぽいと思ってた。
でも録音の中の私は、
なんだか軽くて、少し高くて、
思ったより素っ気なかった。
正直、ちょっとショックだったわ。
でもね、あとから気づいたの。
私たちが普段聞いている声って、
実は少しズルしてるのよ。
体の内側で響いた音が、
混ざってる。
喉とか、胸とか、頭の奥とか。
つまり、いつも聞いてるのは
“内側の私の声”。
録音されてるのは、
“外側の私”。
そりゃあ、
初めましてにもなるわよね。
だって、いつも一緒にいる
私じゃないんだもの。
最近の自分を振り返ってみたら、
これ、声だけの話じゃないなって
思ったの。
人前の私と、一人の私。
元気な私と、黙ってる私。
しっかりしてる私と、だらけてる私。
どれも同じ私なのに、
場面が変わると別人みたい。
でもね、それって
悪いことじゃない。
むしろ、ちゃんと人間してる証拠。
一つの顔しかない人なんて、いないのよ。
もし今、自分の声や、自分の一面に
違和感を感じているなら。
直そうとしなくていい。
慣れようとしなくていい。
それ、あなたのズレじゃない。
あなたの幅。
人ってね、案外自分のことを
一番知らない。
でもその知らなさや、揺れ幅が、
その人の味になる。
均一な人ほど、実は印象に残らないの。
少しズレてる人のほうが、
ちゃんと記憶に残る。
だから今日は、録音の声に
違和感を覚えても、気にしなくていい。
「へぇ、こんな私もいるのね」
くらいでちょうどいい。
ほら、また一つ自分を知れたじゃない。
悪くないわよ、その声。
案外、人からは
好かれてるかもしれないんだから。


2025/12/26 09:00
